第2話──ジョニーと伝説のおならパン
◼️ジョニーと伝説のおならパン
ジョニー・ジェンキンスがパン屋を立て直し、街の英雄になってから数ヶ月。
BIKER'S BREADはますます繁盛し、新しいアイデアを次々と試していた。
かつては州境をまたいで恐れられた男たちが、今や焼きたてパンを愛し、町の子供たちとじゃれ合っている。
ある日、ジョニーがパンの焼き上がりを見ていると、仲間のバイカーたちが店に押しかけてきた。
「おいジョニー!お前、昔のこと覚えてるか?」
「あの“伝説のおなら”だよ!」
ジョニーは「ピクッ」と一瞬、動きを止めた。
そう── 彼には忘れられない屈辱的で、しかし今となっては笑えるエピソードがあったのだ。
◼️最も香ばしい称号
それはジョニーがまだ「アイアンブレイズ」の若手だった頃。
大勢の仲間たちが集まる夜のミーティングで、自慢の新作ペイントを披露しようとしていた。
「見てくれよ、このフレイムペイント!最高だろ?」
ところがその瞬間、バイクのエンジン音よりも大きな
「プスッ…ブボオォォオオッ!!!!!パッパッパッパッ」という音が!
なんと、ジョニーの放屁だった。
クルーたちは大爆笑。
地面を転げ回りながら泣き出す者までいた。
「あいつ、バイクだけじゃなく、自分のタンクも爆発させるんだな!」
「タイヤじゃなくて、腸がスリップするほどの香ばしさだぜ!」
「ジョニーのタンクには“豆”が詰まってるみたいだぞ」
「チリ豆で動くエンジン、環境基準アウトォォ!」
その日以来、ジョニーは仲間内で「ブレイジング・ジョニー(燃えるジョニー)」というあだ名で呼ばれるようになった。
◼️ジョニーのリベンジ!
笑い話として語り継がれる伝説のおなら事件。
しかし、ジョニーには密かに思っていたことがあった──俺はこの恥を逆に活かしてやる!
「笑われるのが嫌なんじゃねえ。笑いを、ただの消耗で終わらせるのが嫌なんだよ。」
そこで彼が考えついたのが、
「おならパン」というアイデア。
だったら、笑われるパンを焼けばいい。笑いをビジネスに変えてやる!と、ジョニーは新しいデザインに取り掛かった。
そのデザインには、かわいらしいプリプリのお尻と、そこからぷしゅっと出ている空気が描かれていた。
「これがパンになれば、最高におもしろい話題になる!」とジョニーはニヤリ。
◼️奇跡のヒット─香ばしい笑いを袋につめて
ジョニーが試作品を焼き上げ、「おならパン」と名付けて販売を開始すると、これが大当たり!
パンの袋には「朝から笑え。人生は、爆笑できる悲劇だ。」とキャッチコピーがついており、町中で話題になった。
「これ、ジョニーのおならがモデルなのか?」
「最高にクールだ!」
「普通のパンじゃ味気ないけど、これなら笑えて元気が出るよ!」
ひと噛みで笑えるパン。口にすれば、悩みがほんの少し軽くなるパン。
“香ばしさ”と“くだらなさ”が、同じ棚で売られる時代が来たのだ。
ジョニーは、自分の過去の失敗を隠すどころか、それを堂々と武器にして人々の心を掴んだ。
◼️新しい伝説─笑われた夜を、売れる朝に変える
おならパンは、ただのジョーク商品にとどまらない。
子どもたちがパン屋に集まり、母親がクスクス笑う。
バイカーたちは「また笑わせやがって」と鼻で笑いながら、毎週3袋ずつ買っていく。
ジョニーは町の人々にこう語った。
「人生には失敗がつきもの。でもその失敗を楽しむ心さえあれば、何だってうまくいくもんさ。」
そして、「バイカーズ・ブレッド」はまたひとつ、新しい伝説を生み出した。
◼️タフな男は、フタをしない。
ジョニーが教えてくれたのはパンの焼き方なんかじゃない。人生の「うまい焦がし方」だ。
男ってやつは、フタをしてしまう。
恥に。過去に。傷に。弱さに。屁に。
でもな──
「恥は吹き飛ばせるかどうかじゃねぇ。笑って焼き上げて、人に振る舞えるかどうかだ。」
あの日ジョニーはフタをしなかった。あえて開けっ放しにして、空に向かって一発かました。バイクだって、エンジンが吠えなきゃ始まらねぇ。
伝説なんてそんな大げさなもんじゃなく、
ただ自分を笑えて、自分で焼き直せるか。
その“火加減”の話だ。
「フタをするな。香らせろ。生き様ごと。」
町には今日も香りが漂う。
それは、パンの香りか。
それとも、伝説の続きか。
── つづく!
→ Fire Up the Next Loaf...
エピソード 3──パン決闘祭(バトルフェス)